小さい頃好きだったものの正体を、月日が経って知ることがある。俺にとって、浦沢義雄さんの脚本はそのひとつだ。
「浦沢脚本」という言葉、コナンや忍たまが好きな方なら聞いたことがあるかもしれない。文字通り浦沢義雄さんが書いた脚本、という意味なんだけど。
原作から特に逸脱したようなナンセンスな回がネットでバズる時、大体セットで出てくる。つまり浦沢さんというのはそういう脚本を書く人なのだ。
俺がその名前をちゃんと意識したのは『人造昆虫カブトボーグ』の時。
あのアニメは全部がおかしかったけど、妙に引っかかるものの言い回しや、やたらと乱舞する無生物に、「なんなんだ」と思うと同時に妙な懐かしさを感じた。脚本家を調べたら浦沢義雄という人だという。で、過去の作品を調べてみたら出るわ出るわ、見覚えのある作品ばかりが。もはや幼少期のアニメ・特撮の視聴履歴と言ってもいいくらい。
特に「東映不思議コメディシリーズ」は、兄妹揃って親しんできた。俺の枕がペットントンで、妹のはどきんちょネムリンだったのもよく覚えてる。うちの兄妹は親が読み聞かせてくれる絵本と浦沢義雄の脚本で育てられてきた。
その後も、唯一手がけた戦隊モノ『カーレンジャー』や、東映さんがYouTubeでアップしている『じゃあまん探偵団魔隣組』を観たり、後追い浦沢義雄ブームはずっと続いている。ブームというか、ゆるいライフワークというか。こちとら浦沢義雄に産湯をつかった身だと勝手に思っているので。
シナリオを手掛けた『PAL-神犬伝説-』も手元にあるんだけど「今の俺にちゃんと楽しめるんだろうか…」と思いながら手を出せず、随分時間が経ってしまった。産湯をつかったんじゃないのかよ。
なんて、薄めの自分語りで終わってしまった。浦沢脚本の具体的な魅力については改めて機会があれば。
あるか…?そんな機会…。