前のスマホを送り返したら人でなし感が出た話

機種変更をしてすぐ、auから旧機種の回収キットが届いた。「回収キット」と言っても、レターパック一式のシンプルなもの。
とにかく、なるべく早く前のスマホを送り返してくれとのこと。

基本的にはレターパックにスマホを詰めるだけの簡単な作業である。
しかし。その前にひとつやらなくてはいけないことがある。スマホを初期化するのだ。

「消去しています」の表示が出ている間、この機種と過ごした日々を思い出していた。
機種変した日のこと。
店員に「使ってないんで解約しますか?」と言われたTELASAが解約されてなかったこと。ただの意識調査だったのかアレは。
奮発してガラス製の保護フィルムを貼ったら速攻で落として、結局フィルムが割れた状態で使っていたこと。端っこが普通に凶器だった。
遠出して、たくさん写真を撮ったこと。
いっぱいゲームで遊んだこと。

なんて思っている間に画面が消えた。思い出を消し終えたらしい。

まるで「初めて電源をつけました」みたいな顔で点灯するディスプレイには、XPERIAの文字がオーロラのようにうねり光っている。
このスマホは、もう俺のことなんて全く覚えていないんだ。
そう思うと、自分で決めた機種変更なのになんだか寂しい気持ちになってしまう。勝手なものだ。

とにかく、2年間たくさんの思い出をありがとう。

…なんて、さも「感傷に浸ってま~す」みたいな文章を書いてるけどさ、この写真は新しいスマホで撮ってるワケですよ。「や~、カメラの性能ちゃんと良いな~」とか思いながら。
この感じを例えるならなんだろう。同棲相手に別れを切り出して、相手が荷物まとめて出ていく様子を新しいパートナーと見送る感じっていうか。
そう考えたら割と人でなしな感じするな。だから、人でなしが書いた感傷ポルノですこの文章は。とりあえずauから「故障なし」の検品結果が出てよかったです。