タイトル通りのお話です。
クリスマスイブの夜、ポケモン育てに勤しんでいる俺に一通の電話が。
発信者を見ると「ゲンガー」。
名前に全く覚えがない。
誰なんだこのゴーストポケモンは。
まあ、出るけど…。
僕のこと覚えてますか?
何年か前、一緒にプールに行ったんですけど…
え、何それ…?
……。
ああ~、思い出した!行ったわ!プール!
知り合い同士の中に一人、ゴリゴリの見慣れない人いたわ!あの時の人か!ゴーストポケモンじゃなかったわ!
それにしても、だ。
今の話の通り、ゲンガーさんとは数年前に一度プールに行っただけの間柄。
間違ってもクリスマスイヴに電話をかけあうような仲ではない。
これは、まさか…?
俺の勘が、ある仮説を立てる。
おそらくこれは当たっているだろうが、果たして…。
今日電話したのは、すごくいいお話があってのことなんですけど
来たーーー!!
聖なる夜に、十中八九マルチ商法の勧誘であろう電話が来たーーー!!
純平さん、最近は充実してますか?
なんか言ってるけど、さっさと切ろう…。
この聖なる夜静かな夜、俺にはポケモン育てというホーリーミッションがある。
ゲンガーのわるだくみに付き合う時間などないのだ。
そうですね…最近どうも物足りなさを感じちゃって
…何かいい話ありません?
食いついたーーー!!
聖なる夜に、マルチ商法の勧誘電話に食いついたーーー!!
ごめん、そりゃ食いついちゃうよ。
こんな面白い話ないんだから。
サンタさんも粋なプレゼントをくれるぜ。
それならとてもいいお話ですよ!
勢いづくゲンガーさん。
きっと受話器ごしに相当なくろいまなざしをしていることだろう。
本当ですか!?僕の人生が豊かになるような、そんな話なんですか!?
わざとらしいパス待ちをする俺。
そうですそうです!今、仲間3人で池袋にいるので良かったらお話を聞きに来ませんか?
ああー、そうなんですね!
今ちょっと(ポケモンで)忙しいので、電話でどんなお話か聞かせてくれませんか?
それは会ってからでお願いします
妙に頑ななゲンガーさん。
この後も何度か内容を聞こうと試みるが「会ってから」の一点張りだった。
そんなやり取りに業を煮やした俺、ついに核心に触れる。
そんな、中身も言えないようなことで本当に僕の人生が豊かになるとは思えないんですけど…?
あのー
もしかしてこれ、マルチ商法の勧誘だったりしまs
全然違います
食い気味で否定するゲンガー。
しかし、この流れは止められない。このまま突き進むのみ。
そうなんですね?
でも”知り合い”に”本当に良いと思える価値ある商品”を”紹介する”って感じですよね?
そうです
そうじゃねーか!
お話、聞いてもらえますか?
ポケモン育てなくちゃいけないのですいません
そう言って俺は電話を切った。
さようならゲンガーさん。
きっと今後もう、俺たちの人生が交わることはないだろう。
その時に育てたブラッキーがこちらになります。