孤独の病院食・3日目

時間や社会に囚われず、病院で空腹を満たすとき、つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが、入院患者に平等に与えられた最高の癒し、と言えるのである。

※これは入院当時の記録であり、記事投稿時点で本人は退院しています。

  • 味のりって、無性に食べたくなる時があるよな。まさか病院のベッドで食べる日が来るとは思わなかったけど、うまい。
  • おひたしのほうれん草が、ヌルヌルしていない。「病院食は飲み込みやすくするためにヌルヌルしているのかも」なんて思ったけど違ったみたいだ。じゃあなんで普段ヌルヌルしているんだ…?
  • 鮭が魚界の朝の顔みたいなポジションについたのは、いつからなんだろう。別に鯛でもヒラメでも銀ダラの西京焼きでも良いはずなのに。いや、良くないから鮭なのか。…なんて考えてる間に米が進みすぎた。なるほど、そういう米の推進力が鮭にはあるのかもしれない。
  • 黄色はデザート枠。今回は間違えなかったぞ。パイナップル、うまし。ごちそうさまでした。

  • かき玉とネギの味噌汁。何気に卵は昨日の朝食ぶりだ。病院食って意外と卵、出てこないんだろうか。
  • しめじとにんじん。これぞ病院食って感じの薄味だ。メインのお供にしよう。
  • 赤いカップの中。マカロニ的なものだと思ったら、これはじゃがいもとチーズとひき肉だな。ここに来てこってりした乳脂肪にありつけるとは。青天の霹靂。
  • 枝豆とベーコンを見ると、ついビールを欲してしまう。子供の頃はそんな大人を割と冷ややかに見ていた気もするんだけど。こういう条件反射って、いつの間に身につけてしまったんだろうか。
  • メインの鶏肉のトマト煮込み風、いい。全体的に薄味な他のおかずが、こいつを中心にチームとしてまとまりだした。おかずも米も全部受け止める懐の広さ。まさに二刀流。侍JAPANの意地を見た気分だ。まあ、味付けは洋風だけど。

  • 白菜とわかめの塩ゆで。入院するまで塩ゆでという調理法にあまり馴染みがなかったけれど、案外悪くない。退院したら自分でも作ってみようか。
  • マカロニとネギは、意外や意外に結構ジャンクな味わいだ。箸休めかと思って油断していたら、いいパンチをもらった気分。
  • 野菜のホワイトソース和え?もいいな。薄い味付けに慣れてくると、舌が勝手に素材の旨さを検索し始めるようになった。キノコと野菜の旨み、うまし。
  • いんげん、ツナ、たけのこ。このトリオが失敗するわけがない。今は色んな野菜が一年中食べられるけれど、やっぱりたけのこを食べていると「春」って感じがするな。
  • 今夜のメインは…豚しゃぶだ。乗っているのはポン酢味のジュレか。付け合せの温野菜も気分が上がる。先月、知り合いに誘われて行けなかったしゃぶしゃぶと、こんなところで出会えるとは。あの時の俺に伝えてあげたい。「しゃぶしゃぶについては気にするな」と。そして「体調はもっと気にした方がいい」と。