今でもふと思い出すことランキング

今でもふと思い出すことランキングの第1位といえば「幼稚園の授業参観」だと思うのですが、例に漏れず俺もふとした時に思い出します。
年少さんだったか年長さんだったかまでは覚えていませんが、参観日の内容は「折り紙でやっこさんを作る」という超絶ハードなものでした。

並の幼稚園児にはこなせないミッションでしたが、当時の俺は「ちょっと前に作った」という爆絶アドバンテージを持っていました。
「やっこさん?俺の布団で寝てるよ(幼稚園児は好きなものを枕元に置く習性があるため)」。まさにそんな感じで、心に余裕を持って参観日に臨みました。

さて、ここで問題です。
生来のお調子者が心に余裕を持って参観日に臨むと…果たしてどうなるか分かりますか?
そう、正解は「見本を作っている先生に、いちいち合いの手を入れだす」です。

先生がひとつ折っては「そうそうそう、そうなんだよね」。
ひとつ折っては「そこが難しいんだよねえ〜」。

突然のお調子者登場に、保護者の皆さん大ウケ。ただ1人を除いて。
そう、ウチの母親を除いて。
後ろの状況はよく覚えていませんが、きっと大ウケしている保護者さんに挟まれてウチの母は気まずい思いをしていたことでしょう。
帰り道の「お母さん、本当に恥ずかしかった!」というお叱りまでセットで、この思い出は今も俺の心に残っています。
そしてこの思い出は今になって「人前で、知っていることをただひけらかす行為は、あまり品のいいことではないんだ」というリアル・ネット問わない教訓となっています。

お母さん、あの時叱ってくれてありがとう。


…でもさ。
幼稚園児が何のきっかけもなしに、そんな合いの手を入れるか?
いくら元がお調子者といえど、誰かしらの影響だろ。悪いテレビでも見たとか。

誰の影響なのかは、数年経って分かりました。

ある日の夕食時、家族でテレビを観ていました。料理番組でした。
テレビの中で、先生が解説しながら手際よく料理を作っています。
何を作っていたかまでは覚えていませんが、ちょっと手の込んだ料理だったのでしょう。
それを見ていた母親が、テレビに向かって語り掛けるんです。

「そうそうそう、そうなのよ」
「ここが難しいのよね〜」

バッチリ遺伝でした。

俺はそんな母に何も言えず、代わりにちょっとグレました。