街(まいばすけっと)から卵が消えた。みんな孵化しちゃったの?ピヨピヨ(ここにいる)と大声で叫んでくれよ。なあ。
卵不足だ高騰だと聞いてもどこか他人事に思っていたけど、いざ売り場に何もない様子を見るとびっくりする。「ニュースの中の出来事」から抜け出した現実が、襲い掛かってくる。
人は現実に襲われるとどうなるか。現実逃避がしたくなる。じゃあ始めますね。
『美味しんぼ』の世界で卵不足が起きたらどうなっちゃうんだろう。
国際目玉焼き会議は解散だろうな。サニーサイドアップだのターンオーバーだの議論している場合じゃないもの。無いんだから。
東西新聞アルバイトの三木君の友達の上田君も卵がないせいで山岡さんにオムレツを作れず、結果的に成長のチャンスを逃し、料理人になったことを後悔したままなんとなく街の料理屋で年を重ねていくのでしょう。
あと美味しんぼの卵料理で欠かせないのは、究極対至高の卵料理対決。
でも卵がないから。山岡さんが「究極のメニュー側は半熟卵のトリュフソースがけですが、ありません」それを受けた海原雄山も「至高のメニューは初卵を使った黄身の味噌漬けだが、ありません」。
静寂が支配する料亭に、降りしきる雨の音だけが響いていた。
とんでもないことですよこいつは。美味しんぼの話じゃなくて、現実が。
俺なんかはこんな腹も膨れない空想をして「ちょっと困ったな」程度だけど、世の中にはもっと困っているのに現実逃避もせず踏ん張っている人がいるわけで。そういう方々が早く安心できるような日が来るといいなと思います。