小汚くもなく

伸びすぎた髪を切ってきた。
担当してくれている美容師さんはビジュアル系を聴く人で、いつも、昔のバンドの話や今のGACKTの悪口を(俺が一方的に)言ったりしている。今日は、来月やるライブの話をした。

「the GazettEさんをやることになりまして…」

「何やるんですか?」

間髪入れずにこの切り返し…。
さてはこいつ”理解(わか)るヤツ”だな…。

とりあえずこのあたりの曲をやりそう、的なことを話す。

「その中だとソレが一番古い曲ですね。そして俺はアレの入ってるアルバムからファンになりました」

めちゃめちゃスラスラ出てくるじゃん。俺全然分かんねぇよ。
でもそっか、例えば俺だったらLUNA SEAでそれが出来るわけで、彼にとってはthe GazettEさんでそれが出来るっていうことなんだな。なんかいいね。過去に聴きこんだ音楽が、今も人生の血肉となっている感じというか。

そのまま、彼の青春を追体験するような気持ちで話を聞いていた。それは一人で曲を聴き込むだけではできない体験で、ライブに向けて一つ糧になった気がする。

当時の恋バナも聞いた。
好きだった女の子がキリトさんのファンだったけど、自分はそこまでハマれずキリトさんごと彼女を諦めた、と。
こんなところでも「音楽性の違いによる解散」ってあるんだな、と思った。この場合は「結成できなかった」が正しいのかもしれないけど。

なんて言ってる間にカットが終わり、カラーリングへ。
「春っぽい感じで」とざっくり過ぎる注文をしたところ、今回はグリーン系でいくことに。新緑のイメージ。
仕上がった色を見て、美容師さんが一言。

「いいですね。小汚くもなく」

小汚くもなく。
初めていただく褒め言葉だ。いや、褒めてるのか?直前の「いいですね」があるからなんとなく褒めてるっぽい空気になってるけど、かなりギリギリを攻めてないか?いや、でも、しかし、あるいは…。

考えても仕方がないので、そのうち俺は考えるのをやめた。

仕上がりは、5月4日のライブでご確認くださーい!

5月4日「暴動新宿区愚鈍の桜」のお知らせ